俳句講座・受講者作品と講評例
20090515俳句作品俳句5クラスの受講者作品の中から、優秀作とその講評をご紹介しています。
●俳句・金子クラス
八月や父のレイテにいつか行く 木村清子(埼玉県)
レイテは、太平洋戦争の末期に日本軍が惨敗した島。遺骨も還って来なか
ったのだろう父の霊を、その島で弔いたいのだ。毎年その思いが一際強く
なる、ああ八月。 武田伸一講師選・評
●俳句・黒田クラス
ひとしきりひとしきり散る櫨紅葉 浅野まり(東京都)
全山紅葉といった大景も並木の銀杏の黄葉も美しいが、これは風のまま
に散る一樹の櫨紅葉。あらん限りの紅に染まって枝を離れ地に帰る。無
韻の韻を聴く思いである。 二宮操一講師選・評
まつすぐな気持の対話夏の雲 中村紀子(北海道)
心持ちがまっすぐである人との会話ほど、胸に響くものはない。心和む
ときも、つらいときもあるかもしれない。作者の対話は前者であろう。夏
の雲が輝いている。 名取里美講師選・評
馬鈴薯の花羊蹄山を持ち上ぐる 澤辺貞子(北海道)
作者は北海道にお住まいである。見渡す限りの馬鈴薯畑が花盛りを迎
えているのだ。羊蹄山がその上にぽっかり浮いて。この句の「馬鈴薯の
花」は「いものはな」と五音で読む。 髙田正子講師選・評
●俳句・小川クラス
華やぎて三代集ふ螢の夜 黒田要子(神奈川県)
女系家族であろうか。色とりどりの装い、嬌声の交じるさざめきが彷彿と
する。螢の夜の明暗がそれらと照応、光の交錯が谷崎潤一郎の世界の
ような幽玄の美を醸す。 明石令子講師選・評
ざくざくと布断つ刃先夏来る 加納泰子(東京都)
何といっても“ざくざく”がいい。平凡なようだが声にして読むと臨場感が
ある。そして「刃先」を出した事で来たるべき夏を印象づけた。
今野福子講師選・評
北窓を開く磯の香潮の香 奥宮真澄(神奈川県)
春を迎えて開けた北窓。眼前に青く輝く海が広がる。深呼吸をすると懐
かしく、微妙に違う磯と潮の香が…。一句のリズムに春を迎えた作者の
喜びが表現された。 芹沢常子講師選・評
漁火の沖へ銀河のなだれけり 神長哲郎(千葉県)
暗く大きな夜の海に、人間の営みの「漁火」が点る。そして遠く沖には、
壮大なる宇宙からの銀河の光りの帯が悠然と傾れている。大きな句で
す。 志田千惠講師選・評
●俳句・深見クラス
秋天や魁夷の世界より青し 長谷部俊雄(千葉県)
広がる空の青さに存分に浸りながら、東山魁夷のあの特有のエメラル
ドグリーンの青を想ったのだ。魁夷の絵も好きだが、秋天の深い青の
清澄さに殊に感動している。 あらきみほ講師選・評
●俳句・稲畑クラス
豆撒の撒くも拾ふも一人かな 西原淑子(東京都)
節分の夜、家庭でも追儺の豆撒をするが、独り居では豆を撒くのもま
たそれを拾うのも一人。少し淋しい思いの中にも、生きる喜びの感慨
が伝わってきます。 石川多歌司講師選・評
大比叡のより高々と寒の空 Y.M.女性(京都府)
京住まいにとっては東山と比叡は親しく大いなるお山でありましょう。
「より高々と」寒の空に立っている比叡は信仰の山としてのみならず、
心のよりどともなることでしょう。崇高な景の描写がよく出来ていて大
変結構です。 田中由子講師選・評
除夜の鐘平和を祈る音ときく 川口茜舟(東京都)
世界平和を祈る音として聞く除夜の鐘ですね。世界中に戦いのない
年でありますようにと祈る心持で聞かれたのでしょう。「平和を祈る
音ときく」とうまく詠まれています。 田中祥子講師選・評
日のさして草ひかり合ふ霜の朝 M.K.女性(千葉県)
草ひかり合ふ霜の朝がいいですね。光が詠めています。
水田むつみ講師選・評
